2017年01月27日

アパホテルの南京大虐殺否定本と中国出版事情

アパホテルの客室に備え付けられている本に南京大虐殺を否定する記述があり、中国政府が反発している。
客室に置かれているのはアパグループの元谷外志雄CEOの著書とのこと。

その内容の如何に関しては他に譲るが、アパグループが発表した見解では「日本では言論の自由が保障されている」と強調しているようだ。

まさにそのあたり、日中両国では大きくシステムが異なる。

中国ではどのようにして政府の意向に沿わない本が出ない仕組みになっているのだろうか。

メディアは中華人民共和国・国務院直属の「国家新聞出版広電総局」が握っていることは知られているが、さらに細かい制度が存在する。

中国の国営出版社の編集者に取材したところ、中国の編集者は資格制になっていた。
<全国出版専業技術人員職業資格>というライセンスが必須なのだ。
同資格は「初級、中級、高級」の3つに分かれ、それがないと本を世に出すことができない。

そして、政府の意向に沿わない記述をした本を出せば、即その資格を失う。すなわち、仕事を失うわけだ。

その詳細を雑誌「WiLL」2016年8月号に「編集者たちの叫びを聞け」にまとめた。
興味のある方はぜひご一読いただきたい。




posted by 中田秀太郎 at 15:39| 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月02日

肌感覚による「爆買い中国人」の生態

「爆買い」が2015年の流行語大賞に選ばれたそうだ。

そういえば先日、タクシーに乗った際、ドライバーからこんな話を聞いた。

団体旅行で東京に来ていた中国人母娘が、日本に住む中国人の友達に会い、
ひさしぶりということもあり、時を忘れて話し込んでしまった。
気づくと、銀座でのバス集合時間から30分も過ぎていたという。

その中国人母娘がバスの添乗員(これまた中国人)に電話すると、
「もうバスは出発してしまったから、タクシーで来てください」
といわれた、とのこと。

タクシードライバーが電話をかわって話すと、なんとホテルは千葉県の銚子の近く。
少なくともメーターで3万円は超える。
間違いだと思ったドライバーはもういちど確認したが、やはり銚子だという。

「久々のロング客か!」
というアドレナリン分泌も感じたものの、彼は冷静だった。
最も怖いのが運賃回収できない事態になること。
高速代も時間もかけて送ったはいいが、「お金ありません」となったら目も当てられない。

必死に身振り手振りで「お金はあるか」と確認した。
すると、財布を見せてくれたそうだ。
分厚い福沢諭吉の束と、まだ帯封を切っていない100万円もあったとか。

そのホテルは都心からは120キロも離れているとかで、
東関道を飛ばして成田空港を過ぎ、さらに小さな有料道路をゆく。
銀座とは打って変わって寂しい道を通ると、さすがの中国人母娘も不安な様子。
ホテルについて同じバスの仲間と出会ったときは、うれし涙を流していたそうな。

運賃は3万5000円ちょっとだったが、4万円を出し「釣りはいりません」とのジェスチャー。

タクシーのトランクには満杯のお土産品があったというから、札束も爆買い資金だったのだろう。

その中国人母娘がどういう人なのかは知るよしもないが、
中国人には、日本人の想定する範囲内に収まらない、ものすごい金持ちがいる。
その逆に想像すらできないほど、ものすごい貧乏な人もいることは忘れてはならないだろう。

まさに光と影なのである。

posted by 中田秀太郎 at 20:37| 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月19日

中国で流行中 回転鍋屋

久々の更新になってしまったが、
今月は中国福建省および台湾に取材に行って来た。

そこで面白い店を見つけた。

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日本の漢字にすれば「転転楽」。
覗いてみると、何かがベルトコンベアに乗って回っている。
そして、かなり満員に近い人気。

つられて入ってみた。
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おー。
店内は全部カウンター席。

まずは先にお金を払って入店。「鍋底」と呼ばれるスープを選ぶ。
たしか4種類くらいあった。
中国の「辛い」のは本格的に辛い。
食べるときはいいが、安易にあとでトイレで苦しむことになるので
「微辛」にしてもらう。

その後、着席。
目の前にはひとり鍋がそれぞれにある。

流れてくる鍋の具材を自由にトングで取り、セルフで煮て食べる。

食器類が入っているこの袋に一連の流れが書いてあった。

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野菜、きのこ、鶏肉、牛肉、羊肉。
さまざまなものが流れてくる。

これはワタリガニ。
目を引いて取ってみたが、可食部分は少なかった…
ダシが出たと信じたい。
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入店したときで、このくらいいっぱいだったが、
出るときには、待ちが出るほど。

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家族連れ、友人連れの人もたくさんいて、
人民たちはワイワイガヤガヤ楽しそうに食べていた。

福建省廈門の街中には、たくさん同店を見かけた。

食の安全性が不安視されている中国。
目の前で自分で食材を見て、そして火を通すことができる
回転鍋は、比較的安全なものとして人気を得ているのだろう。

席を空けて自分で食材を取りにいく必要もないし、
もちろん、その面白さもあるかもしれない。
ドリンクと調味料は自分で取りに行かないとならないのだけれど。

日本でも可能性はあるだろうか。


posted by 中田秀太郎 at 11:56| 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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