「爆買い」が2015年の流行語大賞に選ばれたそうだ。
そういえば先日、タクシーに乗った際、ドライバーからこんな話を聞いた。
団体旅行で東京に来ていた中国人母娘が、日本に住む中国人の友達に会い、
ひさしぶりということもあり、時を忘れて話し込んでしまった。
気づくと、銀座でのバス集合時間から30分も過ぎていたという。
その中国人母娘がバスの添乗員(これまた中国人)に電話すると、
「もうバスは出発してしまったから、タクシーで来てください」
といわれた、とのこと。
タクシードライバーが電話をかわって話すと、なんとホテルは千葉県の銚子の近く。
少なくともメーターで3万円は超える。
間違いだと思ったドライバーはもういちど確認したが、やはり銚子だという。
「久々のロング客か!」
というアドレナリン分泌も感じたものの、彼は冷静だった。
最も怖いのが運賃回収できない事態になること。
高速代も時間もかけて送ったはいいが、「お金ありません」となったら目も当てられない。
必死に身振り手振りで「お金はあるか」と確認した。
すると、財布を見せてくれたそうだ。
分厚い福沢諭吉の束と、まだ帯封を切っていない100万円もあったとか。
そのホテルは都心からは120キロも離れているとかで、
東関道を飛ばして成田空港を過ぎ、さらに小さな有料道路をゆく。
銀座とは打って変わって寂しい道を通ると、さすがの中国人母娘も不安な様子。
ホテルについて同じバスの仲間と出会ったときは、うれし涙を流していたそうな。
運賃は3万5000円ちょっとだったが、4万円を出し「釣りはいりません」とのジェスチャー。
タクシーのトランクには満杯のお土産品があったというから、札束も爆買い資金だったのだろう。
その中国人母娘がどういう人なのかは知るよしもないが、
中国人には、日本人の想定する範囲内に収まらない、ものすごい金持ちがいる。
その逆に想像すらできないほど、ものすごい貧乏な人もいることは忘れてはならないだろう。
まさに光と影なのである。