一躍「時の人」となった加藤嘉一氏。
以前、都内で開かれた彼の講演会に出かけた際の一幕を書いてみたいと思う。
質問に立った中国人男子留学生に対して、加藤氏が問うた。
加「出身どこですか」
学「湖南省です」
加「革命の土地ですね」
学「はい、毛沢東のふるさとです」
加「尊敬してます!」
笑い声が上がる。だが、普通それだけで「人を尊敬する」だろうか?
次に質問した中国人女子学生とは、こんなやりとりが。
加「日本語うまいですねぇ」
学「テレビでしか見たことのない加藤さんが、いま目の前にいると思うと緊張しちゃって……」
加「僕も緊張してます」
学「私、頭真っ白で、手も震えてます」
加「僕もちょっと、ドキドキしています」
会場はドッと沸いた。
この奇妙は2つのやりとりは、どちらも観客から大きな笑い声が上がった。
そこに彼は甘えてしまったのだろう。
加藤氏の話は、一見内容が良さそうだが、よく聞いてみればこの通り。
観客からのウケを背後にした、単なる迎合だ。
加藤氏は、たしかに中国語がうまい。英語も、うまいらしい。
しかし、ただそれだけのこと。
読み手側も、きっちり彼について見極めなければいけないところだ。
有り難く持ち上げた側にも、責任の一端があるだろう。
加藤氏の中国での評判、講演会参加記などは、
拙著「中国人の取扱説明書(トリセツ)」に詳報している。
興味のある方はぜひ手にとっていただければ幸いだ。